あたしが初めて北海道へ一人で行ったのは1997年19歳の夏だった。
あたしの親友トモが北海道のペンションでリゾートバイトをしていて
北海道に遊びに来ないかと言うのがきっかけだった。
19歳のあたしには一人で北海道に行くことがすごい事に思えた。
それを難無く実行に移す トモにあたしは憧れていた。
トモは一浪してでも入りたい大学に入り、自分の興味のある勉学に励んでいた。
彼女は大学で自分の欲しい知識を学び、確実に自分の肥やしにしていた。
トモは自分に正直でキラキラしていた。
もちろん彼女の周りに自然と人が集まる
そういう人だ。
あたしはと言えば、さほど苦労することもなく推薦で大学に入り、毎日をただ繰り返していた。
夏休みは何をする訳でもなく、ただバイトに明け暮れ
友達と飲みに行くか、彼氏の家に遊びに行く毎日。
スケジュール帳に何か予定が入っていないと気が済まなかった。
自分は毎日忙しいんだと、一生懸命生きているんだと言い聞かせるかのように
スケジュール帳を文字でいっぱいにした。
そんなあたしが一人で北海道へ行く
分厚い時刻表と大きなバックを持って……